ネット動画やSNSで「100均グッズでエアコン掃除!」「市販のスプレーでピカピカ」といった情報が溢れています。しかし、電気工事のプロから見れば、それらの多くは「エアコンの寿命を縮め、最悪の場合は火災を招く恐ろしい行為」に他なりません。
「自分でやればタダだし、壊れることはないだろう」という甘い考えが、なぜ数十万円の損失や家族の安全を脅かす事態に繋がるのか。その裏側を詳しく解説します。
1. 結論:エアコンのDIY掃除は「ハイリスク・ノーリターン」

エアコン内部の掃除は専門知識が必要
はっきり申し上げます。専門知識のない方がエアコン内部を掃除するのは、絶対にやめてください。
エアコンは、100V(あるいは200V)の電気が流れる精密な「電化製品」です。素人判断での掃除は、汚れを落とすどころか、以下の致命的なトラブルを招く可能性が極めて高いからです。
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トラッキング現象による火災のリスク
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電装基盤のショートによる完全故障
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内部でのカビの増殖(逆効果)
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水漏れによる家財・住宅へのダメージ
「掃除してスッキリするはずが、エアコンを買い替える羽目になった」というのは、決して珍しい話ではありません。
2. なぜ「自分で掃除」はこれほど危険なのか?

エアコンの構造上の落とし穴に注意
なぜ市販の洗浄スプレーや自作の道具ではいけないのか。そこには、エアコンの構造上の「罠」があります。
① 「電装部」と「水」の危険な関係
エアコンの右側には、心臓部である「基盤」が密集しています。市販の洗浄スプレーを吹きかける際、この基盤に一滴でも液体がかかればアウトです。さらに恐ろしいのは、洗浄直後は動いても、数日後に残った水分や洗剤成分が原因でショートし、「トラッキング現象(発火)」を起こすことです。これは命に関わる問題です。
② 洗浄スプレーが「カビの餌」になる
市販のスプレーは、高圧洗浄機のような「洗い流す力」がありません。汚れをふやかして奥に押し込むだけになりがちです。さらに、流しきれなかった洗剤成分はベタベタと残り、それが新たなカビやホコリの強力な「餌」となります。DIY掃除をした数ヶ月後に「以前より臭いがひどくなった」という相談が多いのはこのためです。
③ 物理的な破損:プラスチックの劣化
エアコンのプラスチック部品は、熱や経年劣化で非常に脆くなっています。プロは「どこにツメがあり、どの角度で力を入れれば外れるか」を知っていますが、素人が無理に外そうとすると、簡単にパキッと割れます。特にフィルター掃除ユニットの破損は、部品交換が必要になり、高額な修理代が発生します。
3. 実際にあった「DIY掃除」の悲劇的な事例

故障やトラブルの事例を紹介します。
電気工事の現場で目にする、リアルな失敗例をご紹介します。
事例1:洗浄スプレーで20万円のエアコンが即死
「節約のために」と市販のスプレー3本を使って徹底的に洗ったお客様。掃除直後、スイッチを入れた瞬間に「バチッ!」という音と共に煙が上がりました。基盤に洗浄液が浸入しており、修理費用は5万円以上。結局、購入から3年しか経っていない20万円のエアコンを買い替えることになりました。
事例2:水漏れで階下の住人とトラブルに
マンションにお住まいの方が、YouTubeを参考に自分で洗浄。ドレンパン(水の受け皿)の排水口をホコリで詰まらせてしまい、溢れた水が壁の内側を伝って階下の部屋まで漏水しました。エアコンの修理代だけでなく、階下の天井の張り替え費用まで負担することになり、数十万円の損害賠償に発展しました。
事例3:ドレンホースを突っついて故障
「水漏れしているから」と、自分で針金を使ってドレンホースを掃除しようとした結果、内部の柔らかいホースを突き破ってしまいました。結果として、壁の中で水漏れが広がり、壁紙にカビがびっしり生える大惨事となりました。
4. まとめ:安全と節約を両立させるなら「プロへの依頼」が最短ルート

エアコンの掃除は、電化製品のメンテナンス
エアコンを自分で掃除して得られる「数百円〜数千円の節約」と、故障や火災で失う「数十万円、あるいは住まいの安全」。どちらが重要かは明白です。
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プロ(電気工事士)は、基盤を完全に養生・隔離してから洗浄します。
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プロは、専用の薬剤と高圧洗浄機で、汚れを「押し込む」のではなく「根こそぎ排出」します。
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プロは、作業後の動作確認だけでなく、電気的な異常がないかまで点検します。
エアコンの汚れが気になったら、それは「掃除のサイン」であると同時に「プロによるメンテナンスのサイン」です。
ご自身やご家族の安全を守り、エアコンを1年でも長く快適に使うために、ぜひ「電気工事の知識を持つプロ」にすべてをお任せください。その安心感こそが、最も価値のある投資になります。




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